『痛み』が原因で中止するケース
大腸カメラ検査中に中止される最も一般的な理由は、痛みです。
痛みの閾値は人によって大きく異なり、全く痛みを感じない方もいれば、耐えられないほどの痛みを感じる方もいます。
特に若い女性や痛みへの恐怖心が強い方は、痛みを強く感じやすくなります。
強い痛みが出た場合には腸の蠕動が激しくなり、カメラの挿入が困難になることがあります。
鎮静剤を使用しても、個人差によっては痛みが完全に緩和されない場合があり、中止に至るケースがあります。
『腸の形』が原因で中止するケース
鎮静剤を使用しても、腸の形状が原因でカメラの挿入が困難な場合があります。
長期間にわたり刺激性の下剤を服用している方や糖尿病患者、抗うつ薬などの向精神薬を服用している方は、腸が伸びやすく、カメラが奥まで入らないことがあります。
また、女性で婦人科系の疾患や腹部の開腹手術後の癒着が原因でカメラの挿入が難しいこともあります。
しかし、柔らかめのカメラや長めのカメラを使用することで、対応できる場合もあります。
『疾患』が原因で中止するケース
疾患そのものが原因で検査を中止するケースもあります。
特に進行がんによる腸の閉塞や狭窄がある場合、カメラが通過できず、検査を中止せざるを得ないことがあります。
その他の理由で中止するケース
その他の中止理由としては、バイタルサイン(呼吸状態や血圧など)の異常があります。
基礎疾患を持つ患者さんの場合、検査中に安全性が保てなくなることがあります。
また、検査前処置としての下剤がうまく作用せず、腸が十分にきれいにならない場合や、患者さんが下剤を飲めない場合も、検査を中止する理由となります。
中止した場合の再検査の必要性
大腸カメラ検査が中止された場合、再検査の方法としては以下の方法が挙げられます。
- 他の病院で再度検査を行う
カメラの種類を変えることで挿入が可能になる場合があります。
- CTコロノグラフィーと呼ばれるCTを使用した3D画像撮影を行う
大腸の健康状態を確認するために検査が必要と判断されている場合、中止後も何らかの形で検査を継続することが重要です。
現在、内視鏡の種類や鎮静剤を安全に使用することでほとんどの方が以前より苦痛を感じることなく大腸カメラ検査を受ける事ができるようになりましたが、上記のような理由で検査が中止されることもあるということは知っていてもらえれば嬉しいです。
文章 ~医師 塩塚~