ピロリ菌の検査

ピロリ菌PCR検査ピロリ菌PCR検査

ピロリ菌とは

ピロリ菌は胃の粘膜に生息している細菌です。胃には食べ物を消化する強酸性の胃液で満たされています。ピロリ菌はウレアーゼと呼ばれる、ピロリ菌の持つ酵素によってアンモニアを作り出し、胃酸を中和してピロリ菌が胃の中で生息できるようにしています。またピロリ菌の特徴として酸素のある大気中では生息できず、乾燥にも弱いグラム陰性菌です。大きさは0.5×2.5~4.0μmで尾の部分に鞭毛と呼ばれるひだを持ち、鞭毛を使って胃の中を自由に移動します。

ピロリ菌の発症原因

ピロリ菌は幼年期に衛生環境が良くなかった年代の方に感染している人が多くいます。生活環境の整った現代では上下水道の完備し生活環境が整備されており、ピロリ菌に感染することは少なくなっています。また大人になってからは普段の日常生活や食生活ではピロリ菌の感染はほとんど起こりません。

ピロリ菌は、ほとんどが幼児期に感染すると言われています。幼児期の胃酸の生産量は少ないため胃の中の酸性が弱く、ピロリ菌が生着しやすい環境になっているからだと推測されています。

先進国でのピロリ菌感染は主に家族内感染であると報告されています。中でも母親から子供への感染ルートがメインであることが知られています。しかし過度に恐れる必要はありません。そのメインルートもせいぜい11%前後の感染率だとも報告されています。

ピロリ菌の症状

ピロリ菌に感染したからといって、潰瘍や胃癌が必ず発症するわけではありません。しかし、感染したほとんどの人に胃炎、胸やけ、吐き気、嘔吐、胃もたれ、食欲不振などが起こることが分かっています。除菌しない限りピロリ菌は胃の中にすみ続け、慢性的な炎症が続きます。そのため、胃の粘膜を守る力が弱まり、塩分、発癌物質などの攻撃を受けやすい状態となり、胃潰瘍・十二指腸潰瘍、胃がんの発症リスクが高くなります。

胃がんの99.4%はH.pylori陽性の患者さんから発生します。

ピロリ菌の除菌法

ピロリ菌の除菌治療には、胃酸の分泌を抑制するお薬と2種類の抗菌薬の計3つのお薬が用いられます。この3種類のお薬を一週間毎日服用することで約8割の方は除菌に成功すると報告されています。それでも除菌できていない場合は二次除菌、三次除菌を行います。

詳細は当院の「ピロリ菌 除菌」のページを参照下さい。

~除菌の際の注意点~

医師から指示された薬は必ず用法・容量を必ず守って服用してください。自身の判断で服用中止をしてしまうと治療薬にピロリ菌が耐性を持ってしまい、除菌治療効果が下がってしまいます。必ず決められた用法・容量、服用時間に薬を飲んでください。
除菌治療をしたからといって必ず除菌されているわけではなく、8週間以上あけてから再度検査を受けてください。一般的にはお薬を飲んで4週間後に除菌の判定を行いますが、誤判定の可能性を下げるために、当院では「8週間以降」の検査を推奨しています。

ピロリ菌検査方法

ピロリ菌を見つける検査には大きく分けて内視鏡を使わない方法と、内視鏡を使う方法の2種類があります。

~内視鏡を使わない検査~

・尿素呼気試験
主に使われる検査方法であり、13Cを含む診断薬を服用し服用前後の呼気中の二酸化炭素を集めて診断する方法です。

・抗体測定
人は細菌に感染すると細菌に対する抗体を作ります。これはピロリ菌に対しても同じであり、血液中や尿中などに存在する抗体の有無を調べる方法です。

・糞便中抗体測定
糞便中に含まれるピロリ菌に対する抗原の有無を調べる方法です。

~内視鏡を使う検査~

・培養法
ピロリ菌に感染したと思われる胃の粘膜部分を採取し、それをピロリ菌の発育可能な環境下で5~7日培養して判定します。

・迅速ウレアーゼ試験
ピロリ菌が持っているウレアーゼという、アンモニアを作り出す酵素を利用して調べる方法です。採取した胃の粘膜を特殊な反応液に添加し、添加後の反応液の色の変化でピロリ菌の有無を判定します。

・組織鏡検法
胃の粘膜の組織に特殊な染色色素と投与してピロリ菌を顕微鏡で探す方法です。

 

ピロリ菌の検査を行う際の注意点(お薬と食事)

当院ではピロリ菌の検査として尿素呼気検査を標準検査としています。

検査日までの2週間は「抗生剤」および「プロトンポンプ阻害剤(胃酸を抑える薬剤)」は内服を控えて下さい。検査の正確性が低下します。
どの薬剤が「抗生剤」で、どの薬剤が「プロトンポンプ阻害剤」なのか?はっきりしない場合は、お薬を調剤して貰った薬局へ問い合わせることをお勧めします。

検査前日の食事に制限はありません。

検査当日の食事は、検査4時間前までは摂取が可能です。午前中の検査であれば朝食を抜いて来院下さい。午後から夕にかけての検査の方は昼食を抜いて来院をお願いします。

薬は検査の4時間前からは内服をしないで下さい。

当院の方針

当院ではピロリ菌の検査として「尿素呼気検査」を標準検査としています。

健診などで「抗ヘリコバクターピロリ血中抗体」が陽性であった患者さんに追加検査をせずに除菌薬を処方することは(当院では)原則としてありません。

除菌薬を処方する前に必ず「尿素呼気検査」や「便中ピロリ抗原」などの追加のピロリ検査を行います。

「血中抗体の陽性のみで除菌を開始しないように」との注意喚起の声明が日本ヘリコバクター学会からも出ています。http://www.jshr.jp/member/index.html#news210506

残念ながらピロリ菌の検査はいずれの検査にも穴があります。「偽陰性(本当はピロリがいるのに検査では陰性)」の可能性が0という検査は存在しません。

「抗ヘリコバクターピロリ血中抗体が陽性」の患者さんの2-3%は、除菌をする前から(ピロリはいるのにもかかわらず)「尿素呼気検査」や「便中ピロリ抗原」が陰性です。

除菌前と全く別の検査を用いて除菌後の判定を行うと「本当は除菌出来ていないのに除菌は成功」との誤判定をしてしまうリスクが上がります。

上記のような検査の精度によるリスクを最小にするために、当院では除菌前に陽性であった検査で除菌後の判定も行っています。

では、健診でよく用いられる「抗ヘリコバクターピロリ抗体」で除菌判定もすればいいのか??

そうも行きません。「抗ヘリコバクターピロリ血中抗体検査」は除菌後の判定には使用しにくい検査です。除菌薬を飲んで実際に除菌が成立しても、そのまま1年以上も検査が陽性のままの患者さんがいらっしゃるからです。「抗体」はピロリ菌を攻撃するミサイルのようなものです。ピロリ菌がいなくなっても、体はすぐには臨戦態勢を解除しないのです。そのために「ピロリ菌が除菌されること」と「抗体検査が陰性になること」には大きなタイムラグが生じるのです。それもあって抗体法を使用した除菌判定のタイミングは標準的には「6か月以上」です。これでは判定までに時間がかかりすぎます。また抗体法は検査結果の信ぴょう性が尿素呼気検査や便中ピロリ抗原検査に比べて低いことも周知の事実です。

さらに…上記のことを踏まえれば「抗ヘリコバクターピロリ抗体の陽性」は「現時点でピロリに感染している」ということにならないことも理解して頂けるかと思います。ここ0.5-2年のあいだに除菌されていても「抗ヘリコバクターピロリ抗体検査」は陽性にのままとなります。健診での「抗ヘリコバクターピロリ抗体の陽性」のみを拠り所に除菌薬を処方する場合は「本当はお薬の必要のない病状」の患者さんにお薬を処方することになる可能性もあるのです。その場合は除菌薬の医療費も副作用へのリスクも無駄なコストとなってしまいます。

胃癌の予防において、ピロリ菌除菌は非常に重要です。その重要性を理解しているからこその追加検査だと思って下さい。可能な限り丁寧な除菌を行うための方針です。ご理解頂けましたらと思います。

ピロリ菌の除菌を希望される方は受診当日の食事や、2週間前からの薬剤内服に制限があります。

検査にかかる費用

ピロリ菌の陽性が確認できている方は、2次除菌までは保険適応の治療です。
また尿素呼気検査の費用は約2500円です(3割負担の方)。

3次除菌からは保険適応外治療となり、自費となります。なお当院では3次除菌は行っておりませんので、ご希望があれば3次除菌を行っている医療機関へご紹介いたします。

当院の内視鏡検査

当院は消化器・内視鏡クリニックとして、患者様に安心安全で良質な内視鏡検査を提供できるよう、日々研鑽を積んでおります。当院の院長はピロリ菌の専門医である「H.pylori(ピロリ菌)感染症認定医」です。ピロリ菌が気になる方や、内視鏡検査を受けることを検討されている方は、お気軽にご相談下さい。

 

お問い合わせ

仙台消化器内視鏡内科クリニックでは主に尿素呼気検査にてピロリ菌検査を行っています。20-30分もあれば即日結果が判明します。ピロリ菌を放置していると胃潰瘍・十二指腸潰瘍、胃がんの発症リスクが高くなります。これらの発症を抑えるためにも早期での治療をお勧めします。少しでも胃炎や嘔吐、胸やけなどの症状を感じた方はご遠慮なくお問い合わせ・ご来院ください。

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