血便の色と関係する疾患
出血量が多い血便
出血部分が肛門から遠い奥の方でも、出血の量が多い場合は真っ赤な便が出ます。
その場合は、小腸出血や大腸憩室出血などの疾患が考えられます。
つまり、血便の色は出血部分と出血量によって決まるということです。
小腸出血や大腸憩室出血などの場合は、下痢のように血液が出てくることが多く、冷や汗、血圧降下など他の症状を伴うこともあります。
このような場合は、緊急性が高いので迷わず救急車を呼びましょう。
下血と血便
医学的には黒色便のことを下血と表します。
真っ赤な便、赤黒い便は血便を表します。
宿便性潰瘍による血便
稀に、宿便性潰瘍による血便の場合がありますが、若い方には、めったにありません。
潰瘍性大腸炎による血便
潰瘍性大腸炎の場合は、真っ赤な便とともにドロッとした粘液が混ざった粘血便や便の回数が多くなる、下痢を伴う、といった症状が出ることもあります。若い方に多い疾患です。
がんによる出血は自覚しにくい
大腸がんによる血便の場合、滲むような出血はあっても大量な出血が起こることはありません。
便潜血検査が陽性となり大腸カメラ検査を受けて、初めてがんが判明する場合も多く、自覚しない程度の出血の場合が多いです。
直腸がんと痔
直腸がんと痔の症状には、どちらも少量の鮮やかな赤い便が出るという共通点があります。
痔だと勘違いしてしまい、強い自覚症状が現れてから受診されて進行した状態のがんが見つかる方も多くいらっしゃいます。
安易に痔だと判断せずに、内視鏡検査を受けることをおすすめいたします。
痔であったとしても、確定診断のために40代以上の方には大腸カメラ検査の受診をおすすめしております。
ストレスと血便
ストレスと血便に直接的な関係性はありません。
しかしながら、ストレスによって便秘や下痢の症状が起こることによる出血は考えられます。
便秘と血便
ストレスによる便秘症状によって、痔や虚血性腸炎が起こり血便が出る可能性は考えられます。
痔は、便秘になり固くなった便を排便する際に起こり、それに伴って血便が出る場合があります。
虚血性腸炎は、便秘で便が出にくい方によく起こる疾患です。
便秘に伴う症状としては、気を失うくらいの痛みや、硬い便⇒下痢⇒赤いジャムのような血便の順で排便する、などの特徴的な症状があります。
虚血性腸炎の大体は自然治癒するとされていますが、原因が大腸がんである可能性もあります。
確定診断のために大腸カメラ検査の受診をおすすめしております。
繰り返す便秘・下痢と血便
便秘と下痢を繰り返してしまう方の多くは、便秘症状が主になるため、溜まり過ぎた便を排便する際に血便を伴うことがあります。
心配のない血便
緊急性の高くない血便としては、痔の症状による排便時の鮮やかな血便が挙げられます。
一方で、すぐに出血が落ち着かない、繰り返し症状が現れる場合は、安易に痔であると判断することは危険です。
放置をせずに一度大腸カメラ検査を受診して、確定診断・治療をすることが大切です。
血便は何科を受診すればいいのか
おしりが痛い出血は、肛門外科または消化器内科を、おしりが痛くない出血は、消化器内科を受診しましょう。
血便ではない異常便
血便ではないですが、白い便が出ることがあります。白い便が出ている場合には閉塞性黄胆である可能性があります。
閉塞性黄疸は、胆汁が詰まっている状態で緊急性が高い症状であるため、すぐに消化器内科への受診が必要です。
文章 ~医師 本間~