腹痛が続くときに考えられること

腹痛に関する様々な男女差について

「腹痛と性別」に関して男女で何か傾向が出るのでしょうか?「疾患」「受診タイミング」「受診時の症状」で今回は整理をしました。しかし、これらは統計を取ったわけではなくあくまでも印象です。

①腹痛を伴う疾患の男女傾向

男性の場合は逆流性食道炎や尿管結石、女性の場合は便秘による腹痛が多いようです。また、女性は婦人科特有の下腹部痛もあります。逆流性食道炎は男女とも発症する疾患で、60歳までは男性に多く、それ以降は女性に多いという報告があります。

②受診タイミングの男女傾向

男性は比較的長く我慢してから受診される方が多く、女性の場合は症状があるとすぐに受診される方が多いようです。我慢できる一時的な腹痛であれば様子を見てみるのもいいかもしれません。しかし、少しの不調でも早く受診して疾患がないか確かめることは健康状態を把握できるので安心です。

③受診時の症状の男女差

受診時に男性は血便や腹痛がある方が多いようです。血便で痔だと思い、ずっと我慢して受診された方で進行がんが見つかったという場合もあるので我慢しすぎるのも要注意です。女性は便秘を伴う腹痛や婦人科特有の腹痛などが多い傾向です。これらはあくまでも当院で多いと感じる男女別の症状です。これ以外にも男女とも様々な症状で受診されます。

1週間以上続く腹痛は注意が必要

一般的には、軽度の腹痛であれば治まるだろうということで様子を見るケースも多いです。しかし、腹痛が1週間以上長く続く場合は何か疾患が隠れているかもしれないので注意が必要です。その中でも気をつけて頂きたいのが「どのような痛みか」ということです。今まで経験したことのある痛みで我慢できるか、もしくは激しく痛みを我慢するのが辛い状態かです。もし、経験したことのない強い痛みなら我慢せず救急車を呼ぶことも考えましょう。そこまで強い痛みではなくても何かの疾患が隠れていることもあります。そのため、安心するためにもなるべく早く消化器内科を受診されることをおすすめします。

腹痛で病院を受診すべき目安は?

痛みを感じる期間も重要です。1週間以上、数か月、数年など慢性的に続く場合は受診してください。数日以内で治まる腹痛は急性の何らかの疾患が原因していると考えられます。こちらもおかしいと思う時は、健康状態の把握のためにできれば受診しましょう。

あとはそれが正常な範囲の痛みか、ということです。腹痛の感じ方は、一定の持続的な痛みや波がある痛みなど様々です。持続的に痛みを感じる場合、腹部で何らかの炎症が起こっている可能性があります。女性の場合は婦人科系の疾患の可能性もあります。

他にも確率は低いですが、動脈瘤など血管系に異常がある場合もあります。重篤な疾患の場合、早期発見が大変重要です。痛みが持続している、痛みがだんだんひどくなる場合はすぐに受診しましょう。重篤な疾患が原因ではないことを確かめるためにも早く受診する方が安心です。

持続的に続く痛みを放置して回復することはあるか?

例えば、精神的なストレスが腹痛の原因で、そのストレスから解放されると腹痛が改善した方もいらっしゃいます。しかし、多くの場合持続的に腹痛が続くということは臓器に何らかの異常が疑われます。検査をすることでその原因が判明し、原因が分かれば治療することで早く回復できるでしょう。

持続している痛みが我慢できるかどうかはご本人次第で症状にもよります。動脈瘤が関係しているとかなり強い痛みを伴いますし、日常で一時的に起こる軽度の腹痛であれば我慢できる方もいます。軽度な痛みも長く続くということは何らかの疾患が関係しています。そのため少しでも気になれば受診をおすすめします。

また、本当にひどい痛みの時は遠慮せずに救急車を呼びましょう。また間欠的な痛みと言って、痛い時と痛くない時を繰り返すが、痛くない時は普通に生活ができる場合もあります。この場合も、一回だけで治まっているのであれば安心ですが、慢性的に繰り返す場合は受診しましょう。

痛みに波がある原因は?

波がある痛みにも注意が必要です。波がある腹痛の場合は便の排出具合により、腸の動きが関係していることが多いです。下痢では腸が動く時に痛みを感じ、便秘では腸に負担がかかっている状態なので痛みを感じます。これは胃腸炎の場合も同様です。波がある腹痛は、それだけでは重大な疾患だという割合は比較的低めですが、検査してみないと安心はできません。

また、波がある痛みが慢性的に続いている場合は注意が必要です。無症状でも受診されて大腸ポリープが発見された例もありました。一度受診し異常がないと判明した方が安心です。少しでも違和感があれば、一度診てもらいましょう。検査で異常がないと診断できれば、便秘などで腸の動きに伴う症状だと考えられるので、お通じのコントロール方法についてアドバイスをさせて頂きます。受診することで医師から健康に関して役立つ情報も得ることができます。

痛みや時期以外で受診を決めるタイミングは?

腹痛を感じ受診すべきか迷った経験がある方も多いのではないでしょうか?受診すべきかどうか決めるタイミングは人それぞれ違うと思います。実際、どんな状況であれば受診を決めるべきなのでしょうか。

いろいろありますが、特徴的な症状が出た場合はすぐに受診をしましょう。例えば、血便や黒色便がある場合です。腹痛を感じた時に便も確認できると、健康状態の一つの判断材料になります。この場合は、胃や大腸など消化管から出血している状態なので、内視鏡検査が必要です。

疾患別の腹痛の傾向

腹痛で考えられる疾患はとても多く存在します。その中で、特徴的な症状が出やすい疾患についてまとめました。これらの症状を感じたら以下の可能性があるので注意が必要です。

①虫垂炎

多くの方は初期に胃の辺りに痛みを感じます。胃痛で近くの病院を受診し胃薬を処方され服用しても回復せず、その後に痛みが右下腹部に移動してきた場合は虫垂炎の可能性が考えられます。右下腹部を押すと痛い、そして歩いた時に振動が響くような痛みを感じます。

②逆流性食道炎

心窩部(みぞおち)や胸の痛みを感じます。水を飲んで一時的に症状が落ち着くようであれば逆流性食道炎の可能性があります。

③帯状疱疹

腹部に帯状疱疹がある場合は腹痛を感じられる方もいらっしゃいます。皮膚に赤いボツボツや水泡ができていて、触ると痛い、表面だけの痛みという場合は、消化器内科ではなく皮膚科を受診された方が良いケースもあります。

腹痛と便の関係

下痢や便秘で腹痛が続くという場合もありますよね。これはどんなことが考えられるでしょうか?

一般的には便秘が多いですが、その他の病気の可能性もあります。お腹で炎症を起こして腸の動きが悪くなっている状態(胆石、尿管結石、胃潰瘍など)や腸の流れが悪い状態(腸閉塞や大腸がんなど)の場合もあります。

逆に、排便して腹痛が変化する場合もあります。痛みが和らぎ楽になる方もいらっしゃいます。例えば、便秘が原因であれば排便できると痛みが楽になります。しかし、急性虫垂炎など排便しても改善しない場合もあります。

コロナと腹痛は関係があるのか?

確かに、コロナに感染し腹痛を感じる方もいらっしゃいます。しかし、コロナに感染した全ての人が腹痛を感じるわけではありません。あくまで症状の一つとして腹痛があるということです。

では、腹痛がありコロナ感染を疑うことについてはどうでしょうか?一般的には腹痛があり下痢や発熱があると、多くの場合ウイルス性胃腸炎が疑われます。腹痛もコロナの症状ということになっていますが、典型的な症状ではないため診断は難しいです。コロナが流行る前はウイルス性胃腸炎が疑われていました。今は発熱があればまずコロナが疑われるので、発熱外来でコロナが陰性かどうか診てもらうことが多いです。もしウイルス性胃腸炎と診断されればコロナとは別の治療になりますが、今は腹痛や下痢もコロナ感染を否定するにはきちんと検査しないとわかりません。ウイルス性胃腸炎でも熱が出るかどうかは人によるので一概には言えません。

またコロナ感染に伴い、お腹の不調を訴える方もいらっしゃいます。完全にコロナが原因だとは言い切れませんが、コロナが関係している可能性は否定できません。整腸剤を服用され症状が次第に落ち着いた方もおられ、時間と共に改善していくような印象です。

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仙台消化器・内視鏡内科クリニック 泉中央院 、長町院、仙台駅前院

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